I'm a Pharmacist!

薬剤師のストーリー

人生において大事なものは人それぞれ。
いろんな想いで、いろんな考えをもって、いろんな人が働いています。
大分で働く素敵な薬剤師を紹介していきます。

大学病院から地域の中核病院へ

川﨑 圭祐
薬剤師歴 8年


薬剤師を志したきっかけ

医療系の方には元々興味があって、人を治す行為としては手術などで悪い所を取り除くとか、もしくは薬で治したり寛解にもっていくか…という2つの手段を考えて、

「薬であれば、いろんな疾患のいろんな人の治療に関われる」と思って薬学を志望しました。

 

治験を経験し進路を考える

治験に関しては以前から興味があったのですが、社会人になるとまとまった休みもとりづらくなりますし、「薬剤師になるのであれば治験に関わってみたい」と思っていたのです。

知り合いから治験の情報を聞いて、内容を見ても(新薬ではなく)すでに使用されている薬の追加承認の目的だったので、安全性も高く大丈夫かなと思って学生のときに受けました。

1週間入院して、時間を空けてもう1週間、と2回に渡って検査を受けて更に1ヶ月経ってから通院と検査して終了、という感じの内容でした。

(受けてみて)良かったですよ。

治験を行っている間、実施している建物からは出られませんでしたが、「フロアの中を3周歩きます」とか、そんな運動は決められていました。弁当のメニューは毎日違うけれど、1クール目と2クール目では内容が同じといったように、食事に影響を受けないように気を配っているのだな、と思いましたね。

 

就職する先の候補はいろいろ考えました。治験を受けてからは「CRCとかそっちに進んでみようかな」とも思って受けたりもしました。

親が医療関係の仕事に就いているのですが、「いろんなことを経験してから自分の道を決めたらどうか」という助言もあって、育った長崎の大学病院に就職しました。

大学病院の採用試験は、筆記試験と面接がありました。準公務員の扱いで、5年くらい働きました。

 

 

社会人としての責任を感じて

大学を卒業して社会人になって、働き始めた1日目から言葉遣いについて絞られましたね。社会人の厳しさというのか。責任も伴いますからね。なんらかのミスが原因で患者さんに何か起こった場合には、その責任が関わってくるので身が引き締まるような思いでした。

 

勤務していた大学病院には”サンキューカード”というものがあって、もちろん「ありがとう」という言葉もいただくのですが、感謝を伝えたい人に対して自由に送るカードが、病棟に置いてあったんです。

書くのも面倒でしょうし、書かないまま退院される患者さんがほとんどなのですけれど。

入院患者さんは新しい薬が処方されれば不安になる方もいますし、「これはどうなの?」と薬のことも含め色々と尋ねられることもあります。そこで、説明に必要だと思えば、場合によっては論文などともあわせてちゃんと調べて、服用すべき理由や副作用のリスクなどを伝えたりしました。

患者さんからサンキューカードをもらえると自分の頑張りを褒められたということではなく、治療や病気に対して少しでも不安な部分や疑問を取り除けて、患者さんが安心して治療に取り組めたのなら本当に良かったなと思いました。

 

 

薬についての情報抽出と手段

 

薬に関する情報収集の抽出や基準は、一応、法的な決まりが主ですね。

「副作用が出た」といった報告や、その時々の法律、医療過誤などもありますが、基本は添付文書になります。

重症例の場合だと、病院によっては、添付文書通りにやっても治療が上手くいかないことが結構多くて、その時は「ガイドラインに沿って治療を行っているかどうか」。

2番目の基準はガイドラインです。

「それでも」ということであれば、医師の判断となるのですが、医師から相談を受けたりすることもありますね。

有料で文献検索ができるサービスがあるので、そこでインパクトファクターを出せるんです。それと論文の内容を一緒に出して、「こちらの方が信頼性が高い」といったような、ドクターの判断基準になりうるものを抽出します。

インパクトファクターがあまりにも低いものや、論文でいえば明らかにベースが少ないもの、もしくはバイアスがかかっているものもありますので、内容をさっとみて怪しいものをはじいたりします。

それでもデータが乏しいものは、不安要素も含めて情報提供をするようにしています。

 

大学病院や医大の先生も結構やっているそうですが、”モーニングセミナー”というものがあるんです。

毎週、月に何回とか始業前に集まって、英語論文を読んだり、その内容についてディスカッションをするといったセミナーを通じて、論文を読むキモというのか、ポイントを習得しました。

 

病院規模と運営の関わり方・やりがい

その後は中津の病院で働くことになりましたが、前職の大きな大学病院は、いわばモデルケースみたいな施設なので「出来上がっている」んですよ。流れもきっちりしているし、機能評価の要件を満たすようなこまごましたところもきっちりしている。何か起こった時の対応もきちんと順序、手順化されていて、逆にそこへ入り込む余地がないんです。

やっていて「ここは大変だから手順を変えたいな」と思っていてもなかなかそこに至らないのです。まずは部署内で話をして、その後にもっと大きなくくりの方に議題を提出して…と、「中身が変わるまでに時間がかかる」とは感じましたね。

小回りが利かないけれど出来上がってはいる。手順の内容に疑問を思うこともあって、しかし大学病院の現場では、それが一番正しいやり方だと思っているんです。

 

地域の中規模な病院になると、全てがマニュアル化されていないし「危ないな」「効率化できるな」と思うことや、手順化されていないところもいっぱいあります。

小回りというか、変えようとすれば割とすんなり通ることがあったので、環境や場合によっては、時代に合わせて、自分の声が病院を変えるかもしれないと思える点で、やりがいがあると思います。

 

 

薬剤師としてのポリシー

「患者さんから聞かれたことには自分がわからないことでも調べてみる」と、自分の中で決めています。

自分の分野とは全く違うような、例えば検査の詳しい深い内容であったりすると、そこは検査技師さんに回答してもらうとは思いますが、自分でも調べて患者さんに「どうでした?」と話を聞いてみたりしています。

「患者さんの疑問にはしっかりと対応する」というのが僕のポリシーです。

 

病院勤務と薬局の違うところは「聞かれたらすぐにドクターへ確認ができる」ところでしょうね。他の医療従事者と接する機会も多いですし、何か尋ねられたらすぐに聞いて返せるのですが、そこでも自分で調べて返すことを大事にしています。

自分で調べることが、もう癖になっているのかもしれないですね。

 

 

勤務地:中津第一病院

2021年3月8日 掲載

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