I'm a Pharmacist!

薬剤師のストーリー

人生において大事なものは人それぞれ。
いろんな想いで、いろんな考えをもって、いろんな人が働いています。
大分で働く素敵な薬剤師を紹介していきます。

ブランクあり、私はこれから薬剤師!

室 真希子
薬剤師歴 33年


薬剤師になったきっかけ

父が薬剤師をしていたので、まあ父の勧めといいますか。幼い頃から「薬剤師になるものだ」と刷り込まれていたようなところはありますね。

実家は、私が生まれてまもなく父が大分で薬局を開業して、それからずっと営んでいました。それこそ”町の薬屋さん”みたいな感じでしたね。父の実家も薬屋さんでしたし、選択肢ナシというように薬剤師の道へ進みました。

大学卒業後2年くらい働いて結婚。

結婚してから、(夫の)転勤もあったりして、ずっと大分にいたわけではないですが、ほぼほぼ専業主婦の感じで過ごしていたのですけれど、ときどき薬剤師の仕事を紹介され、、、仕事をしたとしても、日に3時間くらいで時々働いていました。

その当時から、薬剤師自体は足りていなかったと思いますよ。働く職場には困りませんでした。

もともと、仕事をバリバリやろうとするタイプではないので。「しないならしなくても良いかな」という感じでした。

 

ブランクと薬剤師業務の変化

子どもが生まれてから、10年以上は仕事をしていなかったです。

子育て一直線、専業主婦一直線な生活をしていましたね。

子どもが小学校高学年になって、知り合いの人から声をかけてもらってまた仕事に行き始めたんですが、それも週1~2回のバイトでした。その薬局で2年くらい勤めていましたけれど、閉局してしまって、薬局のことを把握しきれていないままという感じでしたね。それからしばらく働かなかったのですが、在宅メインの薬局に勤めている友達から「薬剤師を探しているから来ない?」と言われて働きに行きはじめました。そこは小さい個人経営の薬局で、最初は「とにかく施設の薬をただただ作ってくれ」と言われていましたね。

そこで今の調剤の流れを学びました。

ジェネリックだの、一般名でくるとどうするだとか…と、最初は(ブランクがあって)わからなかったですよ。若ければまた違うんでしょうけれど、慣れるのに1年くらい掛かりましたね。

最初は「この薬なんやろう…」と思いながら、時間がある時に調べたりして少しずつ勉強をしていきながら。でも調べる時間も本当にないくらい、週3回ペースで働きに出て、調剤マシーンのようにひたすら調剤ばかりしていました。

 

 

当初は、調剤だけで投薬は全くありませんでした。その薬局がM&Aで大手の薬局に変わったんです。すると、いろんなことがガラッと変わって。薬歴もそれまで書いていなかったので、いきなり電子薬歴になって「投薬もできれば…お願いします」と変わっていきました。

 

最初のうちは、もう何だか怖いし、全然わからないから話もできない。

聞き取りは…歳も重ねていますからできます。

でも薬の知識が少ない。

最初はドキドキでしたが、少しは慣れてきたんでしょうね。「ちょっと待っててくださいね」と言って調べられる余裕がやっと出てきました。

 

日常会話の大切さに気づいて

 

患者さんは、お年寄りか、お年寄りを介護しているご家族が割と多くて、家族の大変さや悩みを結構いろいろ話してくれるんです。そういった人は、別に解決法を求めているのでも、薬の内容とか副作用を聞きたいとも強く思っていない。

何の解決にならなくても、話をするだけで良いんだろうなって思うんですよ。

多分、おばあちゃんとかは話をしたいんですよね。「へえ!」「聞いてくれてありがとう」なんて患者さんに言ってもらえているので、そんなのも役に立っているんだなと思っています。

前にいた薬局の患者さんで、さんざんしゃべって大笑いして「ああ楽しかった!」と言って帰った方がいたんです。「私はこういうことをしたいんやな」って思いました。

 

ほんの何年か前から今までは、そういう時代じゃなかったと思うんです。だんだん、傾聴というかそういう(ニーズが求められる)時代に行くんじゃないかなと、私は思っています。

専門的な何かももちろん大事だと思うけれど、それだけじゃない。地域医療なんかもそういうところあるんじゃないかなと。

「患者さんが求めているのは、薬の難しい話じゃないのではないか」と思っているんですよね。

薬剤師として、患者さんに聞かなきゃいけないこともありますが、例えばHbA1cを聞く方ってだいたい数値を書いているじゃないですか。年末あたりに「来年の目標を決めるようにしましょう」と言うと、患者さんは結構乗ってくれるんですよね。

ただ、数値を上げましょう下げましょうじゃなくて、「どうしましょう」という話が出来る人になりたいんです。なかなか、カンタンにはいかないですけどね。

 

ブランクがあっても…

”ブランク”と”戻る”の繰り返しは、結構しんどくて勇気はいる。

土台をしっかりするために、細くてもずっと働き続けることをしておけば良かったなと思いますね。

ただ、土台がないからこそ、プライドとか年下とか関係なく、いろんな人に教えてもらっていますよ。そこは「聞かんと!」(笑)です。

去年の今頃は、仕事を回すことで一生懸命で、話す余裕もなかったけれど、同僚とディスカッションをしながらいろいろ考えるのは楽しいですよね。「へえ」と思うこともいっぱいあるし、若い人は、知らないことをいっぱい知っていますもの。若い知識がちゃんといっぱいあって良いなと思うし、だから聞きます。「頼れるところは頼る!」です。

私が言うのもおこがましいですけれど、専業主婦をしていた私も、一歩踏み出して何とかやっているので、(ブランクがあっても)きっと大丈夫です。

 

薬剤師は、全国どこでもほぼ同じ仕事ができます。

 

都会じゃなくても、大分の薬局でも東京でも、できることはおんなじだと思うんですよ。なので、働く場所は都会にこだわらなくてもいいかな、とは思います。

薬剤師は定年があってないようなものだから、やっていけるかな、働けるうちは働こうかな、と思います。

続けたいからというよりは、生活のためにもやらなきゃいけないんだろうな、きっと。でも、「やろうと思えばできる」というのも良いですよね、薬剤師って。

私の父もみんなに助けてもらいながら80近くまでやっていましたし、そこまでは考えてないけれど、頑張ります。私はこれからなので(笑)。そのためにも、この業界は「勉強しなきゃ」です。ただ今は(ググればわかる)便利な時代ですから、それはすごく助かりますね。

余裕を持って、楽しみながら仕事が出来るようになりたいです。

 

 

 

勤務先:みどり調剤薬局 くすりのキャブテンキッズ南店

2021年3月22日 掲載

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