I'm a Pharmacist!

薬剤師のストーリー

人生において大事なものは人それぞれ。
いろんな想いで、いろんな考えをもって、いろんな人が働いています。
大分で働く素敵な薬剤師を紹介していきます。

薬局一筋 43年

小笠原 眞理
薬剤師歴 43年


薬剤師として

 

私はこれまで、薬剤師として43年働いてきました。 どちらかといえば文系志望だったのですが、「理系の分野で手に職を持っておいたほうが良い」という親からの強い勧めがあって、薬剤師になりました。

働き始めた当時は、対人業務がこんなに多い仕事だというイメージはありませんでしたね。 私のことを知っている人からは「意外だ」といわれますが、実は人と話をするのが苦手でした。でも、この業務をずっと続けてきて、人が好きになった部分もあるんです。

 

人と関わってきた中で、特に感じているのは「病気や薬はその人の人生の一部」だということ。

 

昔は、単純に薬の説明をしてお渡しするだけでした。 そのうち、相手に寄りそって話ができたり、思いが分かってきたりするようになってきて、自分の考えや感じ方ではなく「この人はどうなんだろう、どう思っているんだろう」といった考え方やアプローチに変わってきました。

薬の種類はどんどん増え続けているし、大病院が処方箋を出すようになってから、診療科以外で出されそうな薬もどんどん出てきて。今もそうですが、そのたびに勉強して、覚えて、の繰り返しです。 ただ、薬を受け取って家に帰った後、その方の生活のいろんなことの中に“薬”があって、アドバイスが必要な人もいれば要らない人も、きっといますよね。闘病が長い方は薬代も高くなるし、できるだけ薬を減らしていくために「こうした方がいいと思いませんか」といったような提案も考えるようになりました。

 

昔と比べて、「薬剤師の仕事って変わってきたな…」と感じています。

 

 

 

 

花と私

 

 

 

ちょっと気持ちが疲れたな…と思った時に、よく塚原高原に出かけていたんです。景色を楽しむつもりで出かけるから、ほとんど何もしゃべらずに、ただ喫茶店でお茶したり。

ある時その喫茶店のご主人の女性が「お花の会があるので来られませんか。本当に素敵な花なんですよ」と声をかけてくださったんです。私も思い立って「そうだ誘われたから行ってみよう」と思って行ったら、本当にステキで。先生の生ける花は“自然”を感じるんです。花が、ただあるだけじゃなくて、日常の中に生きている自然を切り取ってくる、そんなふうに感じたんです。「この先生の花をずっと見てみたい」と思っているうちに、次第に「自分で生けられるようになりたい」と思い始めました。

先生のお花には必ず、「なぜその花を生けるか」理由があるそうなんですよね。

日本人の四季に対する文化、例えば子どもの日やお雛様やそういった儀式、行事もあるし、もともと花は「神様にお供えする」「感謝と敬意の気持ちを表すもの」ですからね。お客様に向けて、花を生けてお迎えする気持ちを表す「お迎え花」があったり。

その時だけ一生懸命に花と向き合ったり、美しいものを目と心で探したりとか、そういう気持ちになれる時間が大事になってきました。

 

何でもそうだと思いますが、花をとおして、「毎日触る」とか、そういったことがすごく大事なんだなって、気がついたんです。お花を毎日生けている人と、月に1回か2回触る人では、お花の扱い方がもう、まるで変わるんですよね。

 

生活もそうですけど、続けること・やり続けることが全部含めて大事なんだな、って気がつかされました。

 

 

 

 

 

これから

 

40代後半あたりまで、母親として、薬剤師として、「誰かのために何かをしていなきゃいけない自分がいたな」ということに気がついて、60歳になった時に、自分のスパンを考えようと思いました。まだまだ元気だし、「自分のため」ではなく「人のため」「患者さんのため」にと考えてしまう。でも、多分これから先1年1年が変わってくるんじゃないのかな、と思っています。

「必要とされれば」歳を重ねても週に1回とか働き続けようかなと思っています。

でもこういう仕事は、伝統や宗派を重んじる花の先生とちょっと違って、より新しい知識を思っている人にお薬をもらいたいとか思う患者さんもいるかもしれません。

 

やっぱり、働きたいと思う自分の気持ちもあるけれど、「患者さんがどう感じるか」が大事ですよね。

 

自分が、もうできなくなってしまった事もきっといっぱいあるし、若い人の方が知識とかそういうのも取り出すのは上手だし、知っていますしね。私たちには何かできるか。もしかしたらそれこそ、違う「見方・有り方」とか、そういうところで応援できることもある、でいいのかなと思います。

最近(今月から)、少し勤務時間を減らしたんですけど、相当いいです(笑)

初めて、“余裕をもって暮らす”とか、遊ぶとかそういうことも含めて“自分がちょっとゆっくりする時間”を持てたような気がします。

 

余裕のある時間を持つことは絶対に大事。

 

よく言われる事だけれど、「走っている間は本当に(周りが)見えない・気が付いてあげられない」。だから、できるだけゆっくり、止まる時間・立ち止まる時間が必要だな、と思っています。

 

勤務先 : 輔仁グループ 別府エリア

2021年1月10日 掲載

 

 

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